ふじちゅんブログ(仮)

映画やアメコミ等の趣味について綴る場所

アメコミ版エイリアンがアメコミ初心者にオススメな件について「エイリアン クラシック・コレクション編」

こんにちは、ふじちゅんです。

 

今回レビューするのは「エイリアン クラシック・コレクション」です。

VOL1とVOL2で記事を分けようか悩みましたが、折角なのでまとめちゃいました。

 

f:id:chun_fuji:20200712201723j:plain

 

 

ダークホースコミックスが原書を出版したものをフェーズシックス社が邦訳し、日本国内向けに発売しているアメコミです。

※例えるなら、アメリカで英語で描かれたアベンジャーズをマーベルが出版してて、それをShoProBooks(小学館集英社プロダクション)が邦訳して日本国内向けに発売してる感じ。

 

現在、「アウトブレイク」収録のVOL1と「ナイトメア・アサイラム」「フィメール・ウォー」収録のVOL2があります。

上記サブタイトルの3部作構成となっており、この2冊で完結しています。



さて、冒頭に書きました通りエイリアンのアメコミはアメコミ初心者に大変オススメです。

 

理由は簡単、読む前に映画の1と2を観ておくだけで必要な予備知識が備わるからです。

 

映画化されてるアメコミってみんなそういうものじゃないの?

そんなことありません。映画と原作コミックは全く別物と割り切る必要があります。

実写化されていないキャラクターが当然のようにアベンジャーズに参加していたり、原作での過去の出来事は知っているテイで話が進められたり……

映画にはない設定やキャラが映画の知識しかないアメコミ初心者の読者を混乱させます。

 

何十年も前の初登場から登場回全てを順番に1巻2巻と邦訳されてるわけでもないですし。

 

解説書があることもありますが、解説書の存在自体が初心者には疑問に感じるのではないでしょうか。

普段日本の漫画を読んでいる人は「解説書が必要な漫画」と聞くとどうしても、難しそうと思うはずです。

※今回の2冊には解説書はありません。



「エイリアン クラシック・コレクション」の内容は元々映画「エイリアン2」の続編でした。

しかし、後に「エイリアン3」が公開され、矛盾が生じた結果、辻褄合わせのために「エイリアン2」とは無関係なものとなりました。

 

どういうことかと言うと……

 

■VOL1のざっくりあらすじ

「リム」というテラフォーミングコロニーが音信不通になる。

調査部隊の一員であるウィルクスは唯一の生存者である少女ビリーを救助する。

(この数年後から話が始まります)

 

エイリアンの巣窟となっていた「リム」で家族を失ったビリーと仲間を失ったウィルクスは地球に帰っても精神的に参っていた。

地球軌道上で漂流していた貨物船の調査へ向かった湾岸警備隊の船が爆発する。

残された映像にエイリアンが映ってて、戦闘経験のあるウィルクスが呼び出される。

 

なんやかんやでエイリアンとウィルクス(とビリー)の因縁の対決が始まる。

 

で、このあらすじ内の「リム」と「ウィルクス」と「ビリー」を別物に置き換えてみましょう。

 

「惑星LV-426」というテラフォーミングコロニーが音信不通になる。

調査部隊の一員であるヒックスは唯一の生存者である少女ニュートを救助する。

(この数年後から話が始まります)

 

エイリアンの巣窟となっていた「惑星LV-426」で家族を失ったニュートと仲間を失ったヒックスは地球に帰っても精神的に参っていた。

地球軌道上で漂流していた貨物船の調査へ向かった湾岸警備隊の船が爆発する。

残された映像にエイリアンが映ってて、戦闘経験のあるヒックスが呼び出される。

 

なんやかんやでエイリアンとヒックス(とニュート)の因縁の対決が始まる。

 

といった具合に「エイリアン2」の続きになるわけです。

エイリアン2」とは無関係と認識した上で読むも良し、「エイリアン2」の続編として読むも良し、読者の好きな解釈で楽しめます。

(キャラ名と地名を脳内変換して読む必要はありますが)



▪️VOL1のネタバレ無し感想

「結局正史なの?」と言われたら、そりゃもちろん「エイリアン2」の続編は映画「エイリアン3」でしょうけど……

ニュートとヒックスの結末を思えば、この作品を「エイリアン2」のもう一つの続編と思った方が救いがあるのではないでしょうか。

 

また、「エイリアン3」については「エイリアン3 オリジナルスクリプト」という同社から出版されたコミックもあります。

映画(とクラシックコレクション)とはまた違う「エイリアン2」の続編なので、どの「エイリアン3」が好きかという題材でいつか記事を書いてみたいです。

 

僕は今作を「エイリアン2」の続編として、キャラ名と地名を脳内変換しながら読んでみました。

 

エイリアン2」では頼もしかったウィルクス(ヒックス)が精神的にやられてて「この人大丈夫か?」と思いつつも、家族を失ったビリー(ニュート)にはエイリアンに人生を狂わされたという同じ経験をしたウィルクスしか頼れる人がいないんだよなぁ……と複雑な気持ちで読み進めました。

 

映画では語られないようなゼノモーフの生態の描写はワクワクしました。

ちゃっかりゼノモーフ以外の地球外生命体が出たり……

(ネタバレという程重要な登場ではないです)

 

また、絵柄は良くも悪くも古いアメコミなので、読む人を選ぶかもしれません。

僕も正直好きな絵柄でないのですが、話が面白ければ気にしないタイプなので読み進めるのが苦になる程ではありませんでした。

 

誰が描いてもゼノモーフは不気味でカッコイイのです。

 

エイリアンの寄生を感染と呼称した上で、サブタイトルが「アウトブレイク」となると悲惨な展開が予想されます。

実際、オチは「まじかぁ……」と思いました。

エイリアン4」を観終えた後と同じ感覚でした。

 

それでもVOL2に続くので、まだ希望はあるはず……とVOL2を読み始めました。

 

◾️VOL1のネタバレあり感想

あれ?リプリーとビショップは?

 

リプリーに関しては、大人の事情で登場出来ずという解説がありました。

なので、どこで何をしているのか語られず……ビリーやウィルクスの回想にも登場しません。

(ニュートやヒックスとは別人と言われたらそれまでですが)

 

ビショップに関しては解説すらなく、おそらくユタニ社に回収されちゃったんでしょうか。

好きなキャラでもあるので少し残念でした。

 

もちろん今作にもアンドロイドは登場します。

 

人間と思ってたら実はアンドロイドでしたっていうお約束展開で発覚した海兵隊員のビューラー。

しかも本人も知らなかったっていう……「エイリアン」作品ではあまり無い展開ですね。

 

ビリーと良い感じの雰囲気になったときは、「ポッと出の脇役の癖にビリーに手を出すな!」と(たぶん)ウィルクスと同じ気持ちになりました。

 

それでも最後までビリーの支えになったビューラーは、最終的に彼女にとってウィルクスよりも大切な存在になったのでしょう。

 

ウィルクスは最初から最後まで「ビリーにはお前しかいない!けど余裕無さすぎて頼りない……」って感じでした。

最後はエイリアンのいる星で巣を破壊して旅立つのですが、ウィルクスは面白いほど虚無の顔でした。

 

そりゃ、「エイリアン2」で仲間を失ったのに、エイリアンの星へ行くために一緒に訓練してきた部隊の人たち(ウィルクスは仲間と認めていません)が同じようにエイリアンに殺されていくとなると、やるせないですよね……

しかも人間と思ってたのにアンドロイドだったっていう……

これはウィルクスにとってはどれくらいショックだったのでしょうか。



エイリアンの存在が何故かユタニ社以外にも知られているんですよね。

今作の敵はどこかの大企業なのですが、雇われた傭兵がウィルクス達の行く手を阻む!という割には印象が薄かったです。

エイリアンが暴れ回ってますからね、人間の敵なんて、ちっぽけな存在なんですよ……

 

エイリアンを神と崇める人々がいるってのも、どこからその存在を知られたのか?という疑問が最初に浮かぶのですが、色んな人の夢にエイリアンが出てくるっていう謎現象が発生しています。

ビリーもエイリアンの悪夢にうなされてたんですけど、こっちは過去のトラウマによるもので、他の人とは別物と思ってました。

 

いやぁ、実はエンジニアによるテレパシーだったんですね。

 

そうです、今作には映画「プロメテウス」に登場するエンジニアが登場します。

(同一個体ではないと思いますが)

 

エンジニアによるテレパシーでビリーはエイリアンのいる星に行けて、エイリアンの巣を破壊出来たのです。

 

導かれたと言えば聞こえは良いですが、ちょっと無理矢理な展開な気もします。

 

そもそもこのコミックが発売された当時、エンジニアなんて設定は無かったはずです。

あるのは「スペース・ジョッキー」という設定?だけで、「プロメテウス」や「コヴェナント」に登場するエンジニアとはまったくの別物と考えた方がいいでしょう。

 

VOL2ではそれを特に感じさせられます。




さて、VOL2の話に移ります。

 

内容はVOL1の「アウトブレイク」から始まる三部作の残り二部「ナイトメア・アサイラム」と「フィメール・ウォー」です。

 

◾️VOL2のざっくりあらすじ

ウィルクスとビリーの乗っていた宇宙船は自動操縦でどこかへ向かっていました。

しかも中にエイリアンが潜んでいました。

なんとかエイリアンを倒し、勝手に進んでいた宇宙船は軍の基地へ着陸。

そこではエイリアンを軍隊にする計画が進められてました。

 

◾️VOL2のネタバレ無し感想

VOL1が発売されてから3年近く経っての発売です。(そんなに経ったの?1年くらいと思ってた……)

その間、エイリアンの関連作が数冊出版されているのでエイリアンに飢えることはなかったですが……

続き物なのに間開けすぎでは……?

 

消費者には分からない事情や戦略があるのでしょう。

 

満を持して発売されたVOL2ですが、なんと表紙が3種類から選べるではありませんか!

通常盤、限定版、豆魚雷(というショップ)限定版です。

通常版はマザー・クイーン。

限定版はスピアーズの作ったエイリアン軍隊。

豆魚雷限定版はエイリアンエッグからフェイスハガーの脚がこんにちは。

 

コレクターの方はもちろん全種類購入でしょうが、僕はフェイスハガーが好きなのと1番不気味な表紙だったので豆魚雷限定版を購入しました。

 

通常盤と限定版の表紙は今作特有のキャラクターなので、読み終わった後に「こっちにすれば良かった」と思う人もいるかもしれません。

※どれを買っても中に全表紙のイラストが掲載されてます。

 

感想ですが、個人的には「まぁ満足」といったところでしょうか。

「エイリアンを生物兵器として扱おうとしている人たちがいる」という話は映画でも仄めかされていましたが、「ナイトメア・アサイラム」では似たようなことをしようとしている人が登場します。

※「アウトブレイク」にもいましたがもうちょっと段階を進めているキャラが出ます。

映画で見られなかったシチュエーションなので、その人の顛末を含めワクワクしました。

 

一方「フィメール・ウォー」は、話の作りに強引さを感じました。

エイリアンに人生を狂わされたメインキャラの復讐はいいとして、それに付き添う脇役たちは「それでいいの?」というくらい言われた通りに動くだけのように見えました。

(多少の文句は言ってましたが……)

 

個人的に映画「プロメテウス」と「コヴェナント」は嫌いじゃないので、映画とは違うエンジニアが強調される結末も不満の1つです。

※正史とは言え、映画の方が後なのでなんとも言えませんが……

 

◾️VOL2のネタバレあり感想

VOL1で助かったけどこれからどうしよう状態のウィルクスとビリー(とビューラー)ですが、行き着いた先がスピアーズという人物のもとでした。

スピアーズはエイリアンで軍隊を作ろうとしているんですけど、エイリアンを利用しようとしているキャラはVOL1にも出てるのですが、言動の節々から読み取れる狂人具合が僕の好みでした。

 

上にも書いた通り、生物兵器として扱おうとしている人が具体的にどうやってエイリアンをコントロールするのかってところが描かれてます。

クイーンの目の前で人を襲ったゼノモーフを焼き殺すという残酷な方法なんですが、ここで注目されがちなのは「言うことを聞かない子供(ゼノモーフ)を殺して母親(クイーン)に人を殺さないように子に指示を出させる」という構図です。

でも何が残酷かって、この調教の中でサラッと何人(何十人?)もの人が狭いカプセルにゼノモーフと一緒に閉じ込められて殺されてるんですよね。怖すぎ。

 

ウィルクスとビリーの活躍(とビューラーの犠牲)、そしてスピアーズに不満を持っていたキャラの裏切りによって基地は崩壊、2人は脱出するんですけど、スピアーズはエイリアン軍隊を引き連れて地球へ向かいます。

エイリアンを解き放って、「さぁエイリアンでいっぱいの地球を征服するぞ」ってときにエイリアン軍隊の反逆(そもそも始めから軍隊が成立していなかったのでは)。綺麗なくらいにお約束展開でした。

エイリアン軍団はこの時を待っていたんですね。

 

ここまでが「ナイトメア・アサイラム」です。

僕はスピアーズを気に入っているので、この話自体は好きです。

アウトブレイク」と比べても話の構図が分かりやすいですし、読みやすかったです。

 

さて、「フィメール・ウォー」はと言うと、「ナイトメア・アサイラム」の最後に登場したリプリーが話の主軸になります。

キャラの使用権を獲得したとかなんとかで急な登場です。

しかも、リプリーの回想でビリーとウィルクスではなくニュートとヒックスが登場。

ビリーとウィルクスが「エイリアン2」のニュートとヒックスであると脳内変換しながら読んでいたので別人ですよと突き付けられた感がありました。

 

いやでもビリーはリプリーを見て(久しぶりの再開のように)驚いていたし……うーんパラレル。

 

ニュートとヒックスのその後は伏せられたまま話は進むので、まだなんとか脳内変換出来る許容範囲かなぁと……引き続きビリーとウィルクスをニュートとヒックスに脳内で変換しながら読み進めました。(もはや意地)

 

リプリーは「エイリアン2」の後、1人だけ起こされて「惑星LV-426」の科学調査に連れて行かれたそうです。

アウトブレイク」の序盤のウィルクスみたいなものなんですけど、そこに同行した脇役の仲間?がその後も長い付き合いになるっていうのはちょっと胸熱展開ですね。

 

話は飛びますが、エイリアンの母星にいるマザー・クイーン(クイーン中のクイーン)を捕獲するという計画が進められます。

そのためにゼノモーフの死骸で作った檻を用意するというスピアーズに引けを取らない狂気っぷりを見せるリプリー

 

捕獲したマザー・クイーンを地球に放って、集まったゼノモーフを一掃する作戦です。

 

母星にいるゼノモーフは通常のゼノモーフよりも強いという描写があるにもかかわらず、善戦の末にわりと生き残る仲間たち。

マザー・クイーンを引っ張ったリプリーを強引に回収したり、地球ではビリーが出しゃばって制限時間ギリギリに脱出出来たりと良く言えば「ハラハラ展開の連続」なのですが、悪く言えば「似たような展開の連続」でした。

 

個人的には強引で御都合主義な感じがしてあまり楽しめませんでした。

ウィルクスの影の薄さや、結局全てはエンジニアの掌の上で転がされていたエンドも相まって「フィメール・ウォー」はあまり好みではありません。

 

◾️総評

「面白かった!大満足!」とは行きませんでしたが、「こういうパターンもあるんだなぁ」と「エイリアン」シリーズへの考え方が深まった気がします。

 

地球が滅んだ理由は映画では語られてないですが、コミックと同じように「誰かが地球に持ち込んだエイリアンを利用しようとして失敗した」はありそうですよね。

それに、「フィメール・ウォー」は好みじゃないと言いましたが、エイリアンの母星やマザー・クイーンの存在自体は面白いと思いました。

 

「エイリアン」シリーズは映画が主軸なので、映画との矛盾点やそもそも映画には無かった設定等を受け入れられるかが読者を選ぶ部分になると思います。

ビリーとウィルクスなのかニュートとヒックスなのかとか……エンジニアの存在とか……

(リプリーが登場する時点で映画とはパラレルワールドなんですけどね)

 

読む上で「エイリアン3」以降の映画がこの本より後に公開された点も含めて理解しておく必要もありますね。

 

こういった面を踏まえると、アメコミ版エイリアンの中では難易度が高い方かもしれません。

それでも「アメコミ版エイリアンはアメコミ初心者にオススメ」という言葉に変わりはありませんので、映画のエイリアンが好きな方を始めとする色んな方に読んで貰いたいです。

 

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。